隣のおとうさんのトラクターが転ぶ

我が家の目の前は隣の畑だ。

いつもおとうさんがトラクターで耕したりショベルカーで作業したりしている。

昨日の午後もいつものように畑仕事をしていると思ったら様子が違う。

急いでサンダルをつっかけておとうさんの元に向かうとトラクターは横倒しになり、それを起こそうとしているおとうさんが居た。

どうしたの?駆け寄る私におとうさんの第1声は、止まらなかったの!だった。

一瞬?と思ったけれど次に高齢者の事故を思った、止まらなかったんじゃない操作ミスで止められなかったのだ。

幸いおとうさんに怪我は無いようでこれ以上困った状態にならないように何もしないでねと念押しして、お母さんを呼びに行く。

ところが隣に行って声をかけるとおかあさんは足が痛くて歩けないという、こちらも困った状態か!

息子さんとトラクター屋さんを呼んでと声をかけ、またおとうさんの所に向かう。

息子さんとトラクター屋さんを呼んだからと伝えたけれど、分かっているのかいないのか何故かおとうさんはぽやっとしている。

事故現場の状況をよく見ると土地の境に有る昔のお墓に突っ込んで墓石をなぎ倒しそれに乗り上げるようにトラクターは倒れているようだ。

これで良く怪我をしなかったなあ、もうなんといってよいか分からない。

 

その後痛い足を引きずっておかあさんとトラクター屋さんが来て、聞くとは無しに話を聞くとトラクターは家族を無視して今日買ったばかりで初めて動かしたらしい。

昨冬に脳梗塞を起こして体に少し麻痺が残っているから、トラクターは危ないからやめなさいと日頃から注意を受けていたにもかかわらず。

体が不自由でも何もしないではいられないからその気持ちは分かるけれど、こんな事故を起こしたらどうしようもないよ。

 

そして今日、朝から隣に顔を出しおとうさんに死んじゃうんだよ痛いのはおとうさんなんだよと口を酸っぱくして叱って来たけれど。

赤の他人のただのお隣りさんの私にはそれより口を挟む余地は無い。

ラクターの下敷きになって死んでいるおとうさんをみつけたら悲しいよ、心配だけしかできないけれど。

 

ちなみにおとうさんを助けたのは今回で2回目。

前回はぬかるんだ畑に無理に作業車で入り動けなくなり、どうにかしようと作業車から降りたおとうさんが泥の中で身動きできなくなっていたのを畑の外まで引きずり出したのだ。

その時も無茶なことしないでと声はかけたんだけど懲りなかったようだ。

 

言うことを聞かないおとうさんに、おかあさんはすっかり匙を投げている。

みんな心配しているのにどう言ったら分かってもらえるんだろうか。