おとうさんは会社で出た小銭を家に持ち帰っては小銭入れに入れている。
二人でこの小銭入れを『お供え』と呼んでいる。
神様にあげている訳では無い、沢山貯めて下の子が家に帰った時にお駄賃として渡しているのだ。
大抵はデスクの引き出しの小銭を月の初めに家に持ち帰る。
それを私に両替お願いねと発注するのだ。
それがようやく下の子がアルバイトから契約社員なることになったのだ。
前よりは安定した生活が出来るようになると2日に報告があった。
色々な経緯があって今の生活になっていたから本当にホッとした。
ホッとすると同時にもうお駄賃は無くても良いんじゃないかなと思ったのだ。
今迄はどんなに大きくなっても子供だし不安定な生活だしまだ嫁に行っていないし可哀想な気がして甘やかしていたけれど…。
そんな事をおとうさんと話していたらおとうさんがLINEで下の子にそのことを言ったのだ。
そしたら即答で「貰います!」と返事が来た。
今日もお財布に入りきれないほどの小銭を持って買い物に行って来た。
混んでいるレジで沢山の小銭を出すのは気が引けるけど、最近出来たセルフレジだと気兼ねなく100枚ぐらい使える。
セルフレジはこんな小銭を両替する為にある訳じゃないけれど、揃って甘い親になってまた沢山の小銭を持って買い物に行くのだった。